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2005年 06月 25日

太平洋から日本へ

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「太平洋にいつかわたくしの灰をまいてください、というのが希望なのです。そうなれば日本へ流れていきますから。」

5月のある日、こう晴れ晴れとおっしゃるマックレイン陽子さんの、若々しいお声が耳に残っています。このたびの来日には、夏目房之介さんのお母様の3回忌にお参りされる目的がおありだった由。それにご実弟も他界されてお寂しいはずですのに、からっと明るいご様子に私はことばもありませんでした。

「主人も自分で望んでました。わたくしは彼の遺灰をシャクナゲの花がきれいに咲く場所にまきました。シャクナゲの咲く季節にはそこに行って主人に会うのです。」
…アメリカ人のご主人は自然を敬い、日本美術を愛好する方だったのです。

昨今の世相になっている延命治療について私が懐疑的ですと述べると、陽子さんはきっぱりとおっしゃった。
「もったいないわ。せっかく楽しく生きるべき命なのに。あちらではベジタブルというんだけれどそれは絶対にイヤ!わたくしはそうしたことを弁護士を通じて書類を作りました。」

漱石より31年長く生きていることを感謝され今も人々の尊敬をうけていらっしゃる、オレゴン大学名誉教授・松岡陽子マックレインさん。今日の画像は、この春サクラの花が咲きましたと送ってくださった一枚です。

by tsubakiwabisuke | 2005-06-25 22:55 | 夏目漱石


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