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2007年 04月 18日

漱石の書 「一草亭之人」 西川一草亭旧居を訪ねて

夏目漱石の書 「一草亭中人」

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3月19日、京都市内 浄土寺の去風洞に、私は白檀のお線香一箱を手にして訪問いたしました。翌20日は西川一草亭の祥月命日なのでした。

去風洞は華道の家元で、現九代家元の西川一橙氏と奥様の丁重なお迎えをいただきました。
ご夫妻は私のためにこの漱石の掛け軸を広間の床に掛けてくださっておりました。

もとは扁額であったようですが、おじい様にあたる一草亭が掛け物にされたようです。
じつに高潔な気韻がただよっています。私は感動してみつめておりました。

会話のなかで、漱石のお孫さんであるマックレイン松岡陽子さんに触れました。
お父上の松岡譲氏と一草亭の間には深い交友があったからです。
それらは一草亭が刊行していた雑誌『瓶史』(へいし)の執筆において知ることができます。

写真はマックレン陽子さんが昨年アメリカ大使館で行われた講演会のスナップです。
私は特別に許可をいただいて、証明書を首にぶらさげ(皆おなじ)、参加しています。

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お隣は陽子先生の教え子である米人女性。アメリカ大使館の重要なお仕事をなさっているステキな方です。




西川一草亭は、 『風流生活』1932の中で次のように述べています。

「我々は実生活の他に芸術を求め、 趣味を求め、 芝居を見たり、 音楽をきいたり、 書を味わったりしているが、 毎日の生活をその侭芸術として味わひ楽しむことが出来たら、 どれほど人間は幸福だろう。 茶碗土瓶が芸術であり、 椅子卓子が芸術であり、 机硯が芸術であって、 行住座臥、 随時随所それぞれ鑑賞して楽しむことができたら、 それほど便利なことはない」

かれは、花の作品よりも暮らしを芸術にという思想でその時代を啓蒙したといえましょう。

本業の挿花の指導のほか、書画、庭園の設計・管理、住宅、茶室の設計を行いました。
門下には  京都帝大教授の 藤井厚二、壽子夫妻、浅井忠、高安月郊、都鳥英喜、幸田露伴など。
交流があった建築家は、 武田五一、藤井厚二、堀口捨巳、谷口吉郎、吉田鉄郎、天沼俊一、岡田孝男、本野精吾、大林夫妻など。


『 瓶史』は、 挿花、茶道、庭園、建築など日本の伝統文化研究が編集・掲載されました。





文化サロン

志賀直哉、幸田露伴、室生犀星、和辻哲郎、谷川徹三、小宮豊隆、松岡譲、阿倍能成、長谷川如是閑、板垣鷹穂、正木直彦、川喜田半泥子、北大路魯山人らが集う大サロンであったのです。

ひとえに西川一草亭の高い見識と人柄が当時の知識人を魅了したものと思われます。実弟津田青楓の縁で、夏目漱石門下の小宮豊隆、松岡譲、阿倍能成、が名を連ねていることも注目されるところです。


ここでは画像がアップされないものがございますので、よろしかったらココログのほうをご覧くださいませ。




2006年4月末UP
 
スライドショーマックレイン陽子さんと皇居庭園を歩きました








by tsubakiwabisuke | 2007-04-18 23:13 | 夏目漱石


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