2007年 04月 10日
今日はご宗家の槍の間でお稽古をさせていただきました。 指導は阿部業躰先生。 壁床に坐忘斎家元の横もの。「臥月眠雲」 掛け花入に利休梅。雪柳。 ここは淡々斎がいらした頃、時計の間と呼ばれていたそうです。当時古い時計が柱に掛かりそれを見物に来る人があったとか。時代とともにどの家々にも時計が普及し珍しくなくなって、その呼び名もなくなったのでしょう。 盆香合、茶碗荘(かざり)、と点前がありまして客はふたり。私は正客で濃茶をいただきました。 縁高(ふちだか)に「水かがみ」という銘のじょうよう饅頭。俵屋製。お茶は小山園。 「臥月眠雲」とは禅の言葉でしょうね。月に臥し、雲に眠る。ではそのこころは? 「野宿同然に月に照らされて臥し、夜霧に包まれて眠る」 それは、「乏しくきぴしい条件に耐えて修行にはげむ」こと。これは 芳賀幸四郎氏の解説なのですが、分かりやすいと思います。 阿部先生との会話。 「先生、このお軸ですが、お家元の眠という字のつくり。最近お書きになる花押(かおう)によく似てるような気がします。」と申しますと、「さあ、どうでしょうか。」と。 まあ、私の推測に過ぎないのですが、なにごとも出典というものがございますね。花押にもきっとあると思います。前のお花押は忍び達磨のような感じでしたが、この度のは打って変わってスマートです。 私は、眠の字に、利休さまの実子である眠翁道安(みんおうどうあん)を思い浮かべます。 閑話休題。 客が済むと、点前の順番でした。私は流し点てをお願いして客お二人。 小ぶりの瀬戸水指。休雪の萩茶碗。利休型中棗。茶杓は淡々斎の形のものを選びました。 建水に竹蓋置き。柄杓。干菓子は稚児ざくらにわらび。 水屋詰めの若手が準備してくださいました。 順序。 水指を炉の右、カン付中央にあわせるようにして置く。棗と茶碗をもって点前畳正面から居前に向きを変え、通常水指がある時と同じようにナナメに炉に流して置く。 建水をもち、炉正面に坐る。 ここが流し点ての居前とする。蓋置きは水指前に。柄杓は蓋置きにまっすぐに引く。釜に入れたら炉縁外隅ねらいで置く。 茶を入れ茶を点てる。二人の客に茶を呈し、客からお仕舞いの声がかからなかったのでもう一碗点てる。正客はお仕舞いをの挨拶をせず、主に茶をすすめるように計らう。 亭主相伴ということになり、正客は菓子器をもって水指横に置く。 主は正客の「どうぞご自服で」の挨拶に応えてから、水を一杓釜にさしておく。一呼吸。 主は客付(炉ぶち右外隅を膝中央に)に向く。菓子器を押し頂いて正客の配慮に感謝し、菓子は遠慮する。菓子器の向きを変えておく。この時は茶碗が定坐に出されている。 その茶碗をとって主は客付にて膝前に置き、茶をいただく。 この後、流し点ての場合は、主は客にまた茶をすすめ、客もそれを受けてゆったりとした時間をすごすことも可能。 拝見の声にて、両器を清め、棗を炉ぶちと水指の間、外炉ぶちと水指の間2等分した位置に置き、その下に茶杓を置く。 まとめ。 ◆ 流し点ては炉で行う点前が古くから考案され、行われていた。 ◆ 風炉の流し点ては炉・流し点てから円能斎があらたに考案されたもの。 ◆ 点前はすべて風炉が基本で炉はのちに出来たものだが、例外はこの流し点てである。 ◆ 亭主相伴は通常の場合、亭主が茶を飲むことで終了となるが、流し点てのみ、再度客にす すめることができる。 ◆ 主客が真正面から向き合うのは流し点てのみ。居前のあり方として親しみがある。 ◆ これは基本が出来ている、いわば巧者の点前である。 以上、習ったことをメモしてみました。間違いを書いているかもしれません。 意のあるところを汲んでいただければ幸いです。 「このお点前は、主客が真正面から向き合う、気の合う人にはとてもいいお点前ですね。」 「うん、昔は、見合いにいいと言ってた。今は言いませんが…。」 「そうだったのですか。今ならテレビでいうみたいです。ご対面!って」 そうそう、お茶杓の問いに答えて私はこんな風に申しましたよ。 茶杓は、淡々斎の「ともどち」でございます。
by tsubakiwabisuke
| 2007-04-10 00:22
| 茶の道
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