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2006年 11月 01日
開炉のよろこびに、今日の裏千家宗家は早朝から大勢の同門社中が参集しました。 咄々斎(とつとつさい)で家元の道話、ついで大宗匠の道話、それぞれ茶道宗家ならではの風格ある内容でした。 つい先日このブログで取り上げたばかりの「利休頭巾」について、鵬雲斎大宗匠は次の話をされたのです。 私は速記したわけではありませんからニュアンスが多少違っているかもしれませんが、大意はこの通りだと思っています。 ◇ 「私と家元と孫の明史と食事の時に話し合ったのが、「利休頭巾」のことです。 利休居士は有髪でした。そのころの被られた利休頭巾の絵などを見ますと有髪のようすがわかります。 しかしその後、天正十年に剃髪をされています。利休頭巾もそれにあわせて作り変えられたんですね。 書物で伝えられることより、わが家は連綿と利休居士の茶の道を受け継いできたし今後もそうだということを話し合ったのです。」 これまでは家元ご一家と別居されていた大宗匠。 今日のお話で、この度新築されたお屋敷で3世代の大家族の和やかなお食事のひとときが伺え、拝聴する私共も嬉しく仕合せを感じました。 ◇ 稽古に移りまして、指導の阿部業躰にいつものように何気なく問いかけました。 「淡々斎が利休頭巾を与えれたのは、東京の鈴木宗保業躰と寺西宗楽業躰のお二人だったようにお聞きしていますが。」 「うーん、伊藤宗典さんも貰ってたんじゃなかったかな。」 そこで、わたしの隣に坐っていた伊藤家のヨメである宗福さんに、「お宅に利休頭巾は今あるの?」と聞いたところ、 「あったかも知れんけど阪神大震災でなくなったわ。私は見てないから知らんわ。」とのこと。 でも利休頭巾をかぶったお祖父さんの写真が残っている、という話でした。 時代が変わったというのでしょうか。 今の時代に古風な頭巾をかぶって町を歩く人は、ちょっと考えられませんしね。 「阿部先生はいずれ貰われるのじゃないですか?」と余計なひとことの私。 「いやぁ。そんなことはないよ。」 結局、鵬雲斎大宗匠の代には利休頭巾を与えられた方は一人もありませんでした。 今後、坐忘斎家元が年を重ねられた時、この伝統をどのようになさるのか、こちらも謎ですね。 ◇ 床にはハシバミの一枝と白椿が入っていました。 「ハシバミを炉開きに使うというのが約束のようになっていますが、どのような謂れが?」 「ああ、これは、照葉という意味ではない。黄葉して落ちる秋の最後のすがたではないんです。葉が落ちてからハシバミは花をつけているのです。それにはこれから始まるという意味がある。開炉に際して、始まりの時ということで用いるのでしょうな。」 いつもながら、阿部業躰の分かりやすいお話には感銘を受けるのです。 床の花をまじまじと見ます。枝にぶらさがったのがその花なのでしょうか。 いつか、こう言って教えてくれた人がいたのを思い出しました。 「長い房が垂れ下がっているようなハシバミの雄花ですよ。」 雌花は春に咲きのちにドングリの実をつけます。阿部先生の言はハシバミの雄花のことですね。この垂れ下がった雄花は来年の春まで枝についているわけです。まあ、受け取り方によれば、まさに男社会だということにもなりましょう(^。^)。 それからまた、一茶の俳句もありますね。はんというのが榛の音読みです。ハンノキ(榛の木)と探せば解説がでてまいります。 はんの木のそれでも花のつもり哉 一茶 子規の短歌にもみられます。 はんの木に鴉 芽を噛む頃なれや 雲山を出でて人畑をうつ 正岡子規 そういえばはしばみ色という色が日本にはあるのも、面白いです。 若い方々が面白いことを囁いていて、皆でそれをサカナにして笑ってしまいました。 「ハジカミは知ってるけど。ハジトミはよく分かりません。」 先生も、「ハシバミ、ハジカミ、ハジトミ、かあ。似てるからなあ。」とにこにこ。 寿司の話、露地の話、などをほうふつとして楽しい会話でした。 稽古は、台子で「真の炭」、「真の行」、「大円真」、が行われ、こちらも丁寧なご指導を頂いたのです。
by tsubakiwabisuke
| 2006-11-01 22:22
| 茶の道
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