2006年 10月 13日
体育の日がこの9日でした。町を歩くと国旗を掲げている家がありました。 あれからもう4日も過ぎ、プロ野球では日本ハムと中日が日本シリーズで雌雄を決することになりました。 毎日めまぐるしく変わるニュースに、ともすれば旧くなった事件が世の中から消えることを思い、怖いような気持ちになるのです。人の噂も七十五にちとはよく言ったものです。 スポーツは人びとの憩いであり、憂さを晴らす癒しでもあるのですね。でも、プロとアマの世界では構造が違うこと、また国際競技となれば、国家の威信をかけてという難しい問題が派生します。 日本シリーズ。こちらはもともと出発がプロ球団です。オーナーはもとより、スター選手たちもその所得金額は億単位、悪くても千万単位です。観客はといえば大抵は庶民でしょう。寒い懐から料金を払いつかの間のスポーツのドラマと美技に熱狂します。 アメリカの影響でこの国はもう戻ることができないような格差社会になってしまいました。 しかし、アマチュアの世界では、まだ通常の生活者の感覚というものが生きているのではないでしょうか。 ことしのオリンピック、私は日本が勝ち取ったたった一つの金メダルの光と影について、忘れてはならない事柄を書きたいと思います。 人の牛蒡(ごぼう)で法事をする 人の牛蒡(ごぼう)で法事をする…。えっ、スポーツとどんな関係があるの?ですか。ありますとも。 今では「法事」も葬儀屋やホテルなどが商業ベースでやっていますが、日本では昔からそれぞれの家で、先祖や亡くなった家族を偲ぶ仏式の法事をするのが普通でした。営利とは無縁の営みが「法事」ということで話をすすめます。 人さまを招くに当たって、自分ちのものではない、他人の「牛蒡(ごぼう)」で法事をする者があったというのです。昔のわが国では法事の接待は精進料理ですから牛蒡でそれを表しているのですね。目当ては法事には親戚が持ってくる香典だったという訳です。 よく似ていますね。日本・スけート連盟。ことしの冬季オリンピックで日本が獲得した金メダルはただの1個。貴重な世界一の栄誉を獲得したのはフィギアスケートの荒川選手でした。 ところが結果が出るまでは、荒川選手を正当に評価していたのは日本ではなくアメリカだったのです。国内では出場の選考から不充分な練習場の問題まで連盟は選手のためではなく、組織を管理するトップが自分たちの欲を達成する為に動いたといっても過言ではありません。「甘い汁吸いたかった」と白状したという元会長。 ***** - スケート連盟元会長、裏金工作を自在に変更 朝日新聞 11日06時05分 http://news.fresheye.com/topic/6013363/10000/ 日本スケート連盟の元幹部らによる背任事件で、元会長久永勝一郎容疑者(75)が、連盟内の会計処理システムが厳しくなるのに伴い、裏金の捻出(ねんしゅつ)方法も変更して不正の発覚を免れていたことが、警視庁や… スケート連盟の元会長が領収書を個人管理-自分の会社使い不正も 就任直後から「裏金」分配 スケート連盟の背任事件 山陰中央新報 5日 日本スケート連盟の背任事件で、元会長久永勝一郎容疑者(75)が1998年の会長就任直後から、不正な会計処理で捻出(ねんしゅつ)した「裏金」を理事らに分配、退任した2004年まで方法を変えながら続けていたことが5… - スケート連盟の元会長が領収書を個人管理-自分の会社使い不正も サンケイスポーツ 7日 >捜査二課の調べで、2000年から04年にかけても、取引業者を利用した約4000万円の「裏金」捻出(ねんしゅつ)が分かっており、 - 「規定なし」で私物化拍車=不正温床の国際事業委-スケート連盟背任・久永元会長(時事通信) (7日6時3分) - 「うるさい黙れ」と威圧=ずさん経理指摘の理事に-スケート連盟背任・久永元会長(時事通信) (6日16時0分) - <スケート連盟背任>「甘い汁吸いたかった」 動機を供述(毎日新聞) (6日15時1分) - スケート連盟背任 城田元強化本部長聴取へ 裏金受領、不明朗会計認識か(産経新聞) (6日8時0分) - 契約交渉、1人で仕切る=旅行社との取引で元会長-スケート連盟背任・警視庁(時事通信) (6日6時3分) - <スケート連盟>「自由に使え」久永元会長が監事にも裏金(毎日新聞) (6日3時3分) - スケート連盟背任 役員逮捕の会社、優先受託 水増し経費受け取り目的か(産経新聞) (5日17時27分) - スケート連盟背任 監事にも裏金 久永容疑者、不正を口封じ?(産経新聞) (5日8時0分) - 「自由になる金欲しかった」=久永元会長が供述-スケート連盟事件・警視庁(時事通信) (5日6時3分) - 会長就任時「監事」にも裏金=国際事業委移転で口止めか-スケート連盟事件(時事通信) (5日6時3分) - <スケート連盟>元会長、NHK杯流用金で株や先物取引投資(毎日新聞) (5日3時2分) - スケート連盟調査委、裏金公表せず…一般管理費と説明(読売新聞) (4日18時38分) - スケート連盟 還流金を独断で分配 久永元会長、求心力維持に利用(産経新聞) (4日16時37分) http://news.fresheye.com/topic/6013363/10000/ 日本スケート連盟不明朗会計問題のニュース一覧7日18時24分更新 ニューズウォッチ *** 社説では、北海道新聞(10月8日)がよいものでした。一部引用。 ■社説 -北海道新聞 http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20061008&j=0032&k=200610087419 スケート連盟*不正生んだ無責任体質(10月8日) 日本スケート連盟の不明朗会計問題は、元会長が背任の疑いで警視庁に逮捕される刑事事件に発展した。 スケートはトリノ五輪で荒川静香選手が、長野五輪で清水宏保選手がそれぞれ金メダルに輝くなど、冬のスポーツの花形だ。 その競技団体のトップが、競技の普及や選手の育成・強化に用いられるべき資金を勝手放題に使っていた。選手やファンに対する明白な裏切り行為である。全容解明を求めたい。 スケートはこれから本格的な競技シーズンに入る。今回の事件が選手の競技生活に悪影響を及ぼすことがあってはならない。連盟は一刻も早く信頼回復を図ってほしい。 逮捕された久永勝一郎容疑者は、会長だった二○○二年三月、長野市で行われた世界フィギュアスケート選手権で、運営にかかわった業者に経費を水増し請求させ、連盟に五百八十万円の損害を与えた疑いが持たれている。 久永容疑者は同様の手口で、○四年に会長を退任するまでの四年間で総額四千万円を連盟から不正に引き出したとみられている。金は「通信費」名目で理事ら十数人に分配したほか、一千万円を私的に流用していたという。 これほどの乱脈がまかり通っていたとは驚くばかりだ。 同容疑者の倫理観に原因があったのはもちろんだが、トップの暴走を止められなかった連盟の体質は問題だ。連盟の内部調査で今回の不正がつかめなかったことと併せ、責任は重い。 連盟の財政基盤は人気種目のフィギュアに大きく依存しており、フィギュア出身の久永容疑者の力は絶大なものがあったといわれる。 多くの競技団体と同様に、スケート連盟の役員も無給である。本来の職業の片手間では、責任の所在もあいまいになりがちで、チェック機能が有効に働いていなかった。 ***** 「たおやめぶり」「ますらおぶり」 私は既に、3月6日付けのIT新聞に書いた記事でこの問題を指摘しておりました。 荒川静香選手「たおやめぶり」「ますらおぶり」 2006/03/06 海外での冬季五輪としては史上最多の238人(選手112人)を派遣した今回の日本選手団。その結果がメダル1個に終わった。(参考:Sankei Web「メダル1個に反省の弁 遅塚団長が総括会見」) 選手の数より多く派遣された団体関係者。選手・役員団派遣の経費には税金も使われている。競技のための環境つくりには費用を削るいっぽうで、選手のよりよき育成が出来るはずもないだろうに、団体関係者には惜しみなく出すということだろうか。競技をするのは選手である。サポート体制を充分にせず、メダルの獲得をのみ指令するとすれば、不穏当な話であろう。 「身勝手な大盤振る舞い」といった批判がマスメディアであまり聞かれないのも不思議である。日本選手団の背後にある力関係をチェックし批判する者がいなかったということは、スポーツ界にしてもマスメディアにしてもまことに不甲斐ないという他はない。 ***** 惜しくも4位になったすぐり選手。 美しかった! スポーツ評論家の二宮清純さんが最近するどいコラムを書かれているのを見ました。 黒い氷、日本スケート連盟はなぜ転んだか~二宮清純コラム 最後に二宮さんはこう述べてています。 「手許に連盟が出した一枚のリリースがある。今年3月14日付。メディアが提示した疑問について解答したつもりなのだろうが、答えになっていない。 <国際競技会は収益事業として課税対象とされるため、これを運営する国際事業委員会の会計は連盟本部とは切り離して処理されていますが、最終的には連盟本部と一体として理事会、評議委員会による決算承認を受けるなど必要な手続きはとられています> そうであるなら、連盟の資産がこの7年間で3億円以上も目減りした損失責任は理事会、評議委員会にも確実にある。もう辞めているから関係ないとは言わせない。久永元会長にべったり寄り添っていた“女帝”が果たした役割についても捜査のメスが入るだろう。 合宿費用など強化費のかなりの部分は国庫補助金、元はと言えば、我々の税金である。「どこでもやっていることでしょう」などと、のんびり構えているわけにはいかない。付記すれば親分子分、先輩後輩の関係が未だに幅を利かせる守旧的なアマチュアの体質も「独裁者」の暴走に歯止めをかけられなかった理由のひとつにあげておきたい。」 最新ニュース (2006年10月16日14時51分 読売新聞) スケート連盟背任、城田元理事宅などを捜索 社会ニュース - 10月17日(火)8時6分 女帝に家宅捜索、城田フィギュア元強化部長にメス…スケート連盟背任事件 「 フィギュア界での城田氏の権力は絶大だったという。ある元選手は城田氏の女帝ぶりを「強化部長の座を利用し強化費を自分の気に入った選手だけにあて、言うことを聞かない選手は干された」と証言している。 久永さんと一緒に国内外で大会がある度にホテルのスイートルームに海外の関係者を招き、高級なお酒を振る舞う…俗に言う『サロン・デ・ヒサナガ』は有名な話」と2人の蜜月(みつげつ)ぶりを語るスケート関係者も。 遠征先などでは取り巻きの関係者3、4人と“城田軍団”を形成。「遠征の飛行機は選手らがエコノミーで、城田さんたちはファーストかビジネスクラス。おそろいで買い物するのが好きでトリノ五輪前の視察でも、みんなでエルメスのバッグをキャッシュで買っていた」(関係者)。」 城田さんという「女帝」は、「実家も嫁ぎ先も病院という生粋のセレブ」ということのようです。 特権意識、貰って当たり前の感覚があったとしたら残念なことです。 それにしても、賢明な荒川選手はこうした過去には無言を通しています。 独裁者には擦り寄らず、わが道を行く生き方をしたのは人間として立派だったと思いますね。
by tsubakiwabisuke
| 2006-10-13 20:47
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