2006年 07月 06日
7月5日はすでに昨日になっている。今は、6日の真夜中だ。 昨5日は早朝から家を出て、茶道研修センターへ。 裏千家宗家三大忌の一つである「精中忌」の添え釜を、直門・志倶会でご奉仕するのが恒例になっている。全国各地からお参りに来られた同門の方々を私どもの席でお迎えするのだけれど、やはりすべてを終えて帰宅するのは夕方になる。 雨がひどくなりそうな天気予報でどうなるかと思ったものの、小雨は上がり、晴れ間がみえそのことが何よりだった。私は終日水屋で茶筅を振ってお茶を点てていた。 3年前のこの日、私は精中忌のご供養として七事式に出させていただいたことを思い浮かべている。 先輩方のなかにまじってこれでも一番年少の私であった。上は自分の歌を朗詠しているところ。 この日は「唱和式」があり、私は5人のメンバーに入り出演(?)したのであった。 ご供養の式に対して出演というのもおかしな言葉であるが、じつは、後でメンバーは出演料を払う決まりになっている。 ひとり千円と決まっている。法事の際のお香料のようなものと思えばいい。 唱和式は、花寄せをした後で自分がさした花をテーマにして歌を詠むのが見どころになっている。その歌を各々が朗詠する。唱和する式ということなのである。 どういう花があるか、何を選ぶか、で歌の内容が変わってくる。そこがまたおもしろいのだ。 とはいうものの、まあ、みなの前で恥をさらすことにもなるわけで、この唱和式はとかく敬遠されるのである。 私は、この時詠んだ短歌のことなどを、サイトにアップしている。 2003年7月6日 追加精中忌 たむけの七事式と けいこ場席 裏千家十一代玄々斎精中(1810~1877)は、 幕末から明治の変動の時代に、「茶道は遊芸にあらず」とし、「忠孝五道を精励し」「貴賎衆人親疎の隔てなく交会」するものとして『茶道の源意』を書いているひとであるが、今日庵のみならずひろく茶道界に偉業を成し遂げた宗匠であった。 外国人を迎えるための椅子式の茶礼を創案したのも玄々斎である。 もとは三河領主の松平家に生まれ、10歳で裏千家十代認得斎の養子として迎えられたという。 わずか10歳で実の母とも別れ他家に入った少年の胸中はいかばかりであっただろう。 それを救ったのは養母となった認得斎夫人の愛情とすぐれた教育であった。 漢学をはじめとしてあらゆる学問・教養を学び、身につけた玄々斎は17歳で裏千家十一代当主となる。 今では考えられないようなことではなかろうか。よき人びとの広範な輪にも恵まれた。 尾張徳川家、なかでも十二代の斉荘(なりたか)は、この玄々斎精中宗室に茶道を学んだ。 ともに同年齢であったという。友人であり師弟でもあったふたりには茶道を媒介として深い信頼関係があったようだ。 さて、こうした玄々斎精中という裏千家中興の祖と他の歴代宗匠をおまつりし、供養する毎歳忌が今日の精中忌なのである。 宗家において神聖な座敷である咄々斎、その八畳の間で七事式という協働の点前をご奉仕させていただく。 いつものことながら緊張と感激の瞬間である。 本番に私に与えられた花は、白京鹿の子であった。 この花と紫の桔梗を一輪、花台から取り出して、私は竹花入れにそっと挿した。 それから懐中していた短冊を出して歌をしたためた。 白京鹿の子 十歳(ととせ)にて今日(きょう)の庵(いおり)にきたまいし 大いなる君 白京鹿の子 宗津 京鹿の子の京と、今日庵のキョウをかけて私は玄々斎への手向けの歌とさせていただいた。 noteブック 2003/07/05 Sat 23:47 本番 泥縄の歌 2003/06/24 Tue 22:57 泥縄の歌よみ 泥さんの縄はなえたのかどうか、どうも自分ではわからない。 それでもお家元は、「みんなが玄々斎に手向けてくれてありがとう。」と、おっしゃって文台に載せた五枚の短冊を床の間に飾ってくださった。 ただ感謝あるのみ!
by tsubakiwabisuke
| 2006-07-06 02:47
| 茶の道
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