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2005年 10月 18日
特養老人ホームで起きた小さいけれども悲惨な事件は、わが国の後進性をはからずもみせつけたのではなかっただろうか。老人ホームの貧しさ、医師の常勤も義務づけられていないと聞くが、はたして財政的に経営が困難な状況なのか、調査は入ったのであろうか。 被害者である女性のお年寄りは今入院中のことと思うけれども、帰るべきホームの環境が改善されなければ何もならない。通りいっぺんのお詫びの言葉ではなんら解決にはならないのである。 さらに、問題なのは、報道のありかたである。その記事が捏造だったというつもりは毛頭ない。ただ、報道の原点が忘れられてはいなかったかと思う。 一社だけではない。朝日、読売、共同通信、YAHOO、毎日、産経、おおかた猫の犯罪として取り上げていた。テレビでもやはり同じような報道がされていたらしい。 「聞き書き」から作られたニュースはこうなるのであろうか。 ![]() 上はyamaさんが撮影された証拠写真であるが、どうぞお使いくださいとのこと。 新聞でセンセーショナルな見出しは、「人間の足指を5本喰いちぎった猫」であった。これに対して批判と抗議が巻き起こったのは、前に述べた通りである。 その後、犯人が猫であるという確証はなく、どうも冤罪だったようだということになり、猫は殺処分されずに済んだ。抗議の声をあげた人々の成果でなくて何であろうか。 では、その後、メデアの論調は、事件の報道は、どのように変わったか。そのことを追って見たい。 猫、本当に犯人か 老人ホームでの右足指負傷 asahi.com2005年10月15日12時11分 先の報道からすれば反省点が感じられ、誠実に書かれていると思う。 産経スポーツでは当初から一面的でなく掘り下げて書かれていたが、ただ見出しが過激であった。それが今回は淡々とその後の経過を述べている。 サンスポ.COMトップ > 社会 > ニュース 2005.10.14 更新 ★猫説に異議埼玉県内の特養ホームで認知症女性(88)の足指5本を「猫が食いちぎった」とホーム側が説明したことについて動物愛護団体アニマル・サポート・メイトは13日までに「猫が指を食べることも食いちぎる力もない」と指摘。県警と保健所に再調査を要請することを明らかにした。 先のサンスポの過激な見出し サンスポ.COMトップ > 社会 > ニュース 2005.10.09 人食い猫の仕業!?寝たきり老女の足指5本食いちぎられる埼玉県内の特別養護老人ホームで認知症の寝たきり女性(88)が、右足の指を5本とも動物に第一関節まで食いちぎられたとみられることが8日わかった。 なかでも、10月13日 12時52分 の毎日の記事は最もよいものであった。 毎日新聞 2005年10月13日 12時52分 女性足指けが事件:「猫犯人説」に異論噴出 無実の声も 「猫が本当にこんなことをするの?」。埼玉県の特別養護老人ホームで就寝中の女性(88)が右足指を食いちぎられた事件。猫の仕業の可能性が高いとする警察の見解に対して、疑問の声が噴出している。【秋本裕子、山崎征克】 東京、中日も、最初は猫が犯人だと暗に認めているような書き方であったと思うが、その後すこし変わったようだ。 東京 猫の犯行『あり得ない』 女性の指かみちぎり 埼玉県北埼玉郡の特別養護老人ホームで、認知症の女性(88)が右足の指を猫にかみちぎられたとされる事故で、動物愛護五団体が十二日、埼玉県庁で記者会見し「猫の習性から人間の指を食いちぎるはずがない」として、近く県警と保健所に再調査を要請する方針を明らかにした。 女性のベッドのシーツや部屋の床には猫の足跡があり、施設の職員が中庭で口の周りを赤く染めた猫を目撃。保健所がこの猫を捕獲した。施設側は猫が侵入して指をかみちぎったと県長寿社会政策課に報告している。 会見した特定非営利活動法人(NPO法人)「アニマル・サポート・メイト」の野田静枝代表理事は「猫の犬歯は左右二本しかなく、百回以上はかまないと人間の骨までは砕けないはず。きっちり調査すれば、猫の仕業でないことが明らかになる」と話した。 猫は県動物指導センターで保護されているが、全国から「殺さないで」との声が多数届いているという。同課は「殺処分になることはない」としている。 中日 検証と報告求める 猫の足指かみちぎり事故 北埼玉郡の特別養護老人ホームで、認知症の女性(88)の右足の指が猫にかみちぎられたとされる事故で、県は十二日までに、この特養ホームに対し(1)二度と同じ事故を起こさないよう注意する(2)猫などの小動物が建物に侵入する経路の有無について専門家にチェックを依頼し、結果を県に報告することを指導した。事故に関する施設側の予見可能性についても調べる。 (増村 光俊) 猫と動物愛好家の側からみれば、最初、報道機関からあたかも刃をつきつけられた感じであったろう。勝手に人食い猫などという風評をたてられたのだから。 世間にひろまる風評の被害ということを、よくよく考えていただきたい。猫でないとしたら他の誰かがやったのであろうが、真相は依然として闇の中である。そうした事件の背後に目を向けた報道を、しては頂けないものだろうか。 次に挙げるのは、野良猫保護ボランテアの瀬川さんから寄せられた報告書二通である。 埼玉の老人ホーム、猫事件の真相 10/12 報道の問題点 10/14 1、警察は、猫と断定してないこと。 2、網戸は、元々ほつれていて動物が破ったのではないこと。 3、猫は、建物に囲まれた中庭に、2週間閉じ込められていたこと。 4、2、及び3、の状況からホーム側が、たとえどんな動物が犯人であれ、 ずさんな管理に原因と責任があるとして謝罪したこと。 もし自分が報道する側にあるとしたら、とひとり考えてみる。 やはり聞いた通りのことを時間の制約のなかで、まとめることになるのではないか…。 いやいや、記者の矜持というものがあるんだ…。どうなるかとにかくやってみなければ… たわごと、ひとりごとである。 最後に、私の友人が書き込んでくださったメッセージを、ここにしるしておきたいと思う。 海外の友人。 >あの新聞記事は「杜撰」の一言に尽き、取材した記者の思惑(受けるゾ)と、 取り上げた編集者の思惑(売れるゾ)、 そろっての軽佻さがなんとも情けないことです。ああ、社会の木鐸よ、いずこ? 馬鹿にされたものだ、と憤慨する読者も多いかと。< 著名なアーチスト。 >最初新聞を読んだときには「へー、そんなこともあるんだ」と感じただけですが、その矛盾を指摘されてみると変な感じですね。猫の口が赤くったって、ネズミや雀を食べたのかもしれないし、報道を無批判に読んでいたと反省しました。< 10/19 JANJAN掲載記事 報道はどのように変わったか
by tsubakiwabisuke
| 2005-10-18 02:46
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