2007年 09月 22日

長老ねこの不思議

ねこの鳴き声には、訴えるものがあります。ドラのことをいいますと、最近からだの苦痛を訴えるような声をあげることが多くなりました。首とお腹の両横がふくれ、食欲もなく新しく汲み替えた水ばかり飲んでいます。

獣医科にも久しく行ってないのですが、先生に留守電を入れておきました。この先生は必ずお返事をくださるので猫の病状といいますか、いまの様子を話しました。

これまでの経過を書きますと、腹部に大きい癌ができているという診断を受けていました。高齢だから手術もしないほうがいい。そっと余生を送らせてやるといいだろうということで、私もなっとくの上で病気のねこと付き合ってきたのです。

「番号、2685 M、Cat です。ご無沙汰しています。
食欲がなくずいぶん痩せました。尿と便も出ないようです。きのう、お腹をさすってやっていましたら、運よくピューと細い噴水のようなオシッコが一分間くらい出ました。でも尿だけで終わりです。癌は大きいのがお腹の両横に二つ、首に一つ、ふくれたままあります。医院に行くのを嫌がりますので何か楽になるお薬をいただけますでしょうか?」

まあ、患者としては、不届きな依頼でしょうねえ。でも、こんな話が出来るような理解のある獣医さんなんです。3時間くらい後になってからお電話がありました。

「カルテを見ましたが、7ヶ月来てもらっていませんな。連れてこれませんか?」

「すみません。洗濯ネットをかぶせて袋に入れていくのを嫌がります。医院から帰ると2,3日とてもおびえて近よらなくなるのです。18歳ですからそっとしておいてやりたいのです」

「老衰でしょう。砂糖水をやると力がつきますよ。コーヒー用の砂糖シロップ、小さいのを店屋に売ってますからそれを2倍に水でうすめて飲ませてみてください。葡萄糖注射と同じような効果があります」

「ありがとうございます。便が出ないのはどうしたらいいでしょうか?」

「子供用のイチジク浣腸を買ってきて少しだけいれてみますか。しかし食べないのであればそんなことは必要ないでしょう」

「本当にありがとうございます。機嫌のいいときにまた連れていきます。教えていただいたことを様子をみながらやってみます。」

いい先生でしょう。こんな立派な獣医の先生がいらっしゃるから、いつも安心していられるのです。このところ、ドラはもう、最期が近いのではないかと思うこともありました。主人が東北へ旅行に出かけていましたし、留守中にもしものことがあれば、などと独り思いわずらっておりました。

友人からの電話で、「大丈夫です。ねこはちゃんと分かってますよ。きっとご主人さまを待ってくれてると思います」ということばを聞いて、目頭があつくなりました。

それが昨夜のことです。山形から主人が帰ってくる知らせがあって、玄関の戸の開く音がしましたので、玄関に出て見ると二畳敷きの畳の最前列にねこが行儀よく坐っているではありませんか!

あんなに体が弱っていたのにそんなそぶりも見せないで、主人が留守だったこともみんなわかっていたんだ…、胸がいっぱいになりました。重病のねこを看取った先の友人の話は本当だったのです。

主人はなにごともなかったように、ねこの頭を撫でて「ただ今」と声をかけていました。私への言葉はねこの後になりました〈笑)。
家の中がいっぺんに明るくなった気持ちです。今日もドラは布団のうえに横たわって休んでいます。すこし食べたようすですし、当分大丈夫でしょう。

ありがとうね。ドラさん!







by tsubakiwabisuke | 2007-09-22 02:00 | ねこ


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