2007年 06月 26日
生きものに感謝「放生会」 (京都市) …大橋昭博さん撮影(京都府) 京都・祗園で6月3日に行われた放生会(ほうじょうえ)。舞妓らが金魚を川に放流生きものへの感謝の心を示す。(yomiuri) http://www.yomiuri.co.jp/vbox/index/list/toukou103.htm リンクさせて頂きましたかつて「大友」のあった付近。白川、巽橋の動画です。感謝! http://megalodon.jp/?url=http://www.yomiuri.co.jp/vbox/index/list/toukou103.htm&date=20070625000832 祇園は京都では独特な読み方で花街(かがい)という古風な地域です。伝統の礼儀正しいしきたりが今も守り続けられているのは、五花街の中でも祇園甲部が一番といわれています。 都をどりは祇園甲部歌舞練場で開催される祇園甲部の舞(まい)の会です。明治5年(1872年)に京都博覧会の際に創演され、時の京都府槇村知事が歌の作詞を書き、井上流家元、井上八千代が振付した京都をあげての町興しでした。東京遷都のショックから立直るための大イベントだったのかもしれません。 今なお、都の誇りを掲げる伝承がここに生きている祇園町。その祇園甲部にあって文芸芸妓とうたわれ、著名な文人たちの集う文芸サロンとなっていたお茶屋「大友(だいとも)」の女将であった多佳女…。 磯村たかは、明治十二年(1879)、 祇園新橋のお茶屋の二女として出生。父親は下級武士の出で、芸妓であった母親の名はとも。その名前をとって屋号が出来たようです。茶屋といっても暗い環境ではなく平穏な家庭に育っています。美しい芸妓の姉は万亭(一力)に嫁ぎましたが、多佳は三味線の弾き手となり、和歌や絵を熱心に学びました。 蓮月尼の門人であった歌の師上田重子についていましたが、多佳を養女にと望まれた程、歌の才にも恵まれていたのでした。文学と絵画に知識を深めて行ったことも文人客を喜ばせることになりました。 花柳界のなかで、器量のいい芸妓ではなかったとしても、誠実な愛をもって生きたひとりの才ある女性としていつまでも人々の心に生き続ける多佳女。若き日にこうつぶやいたそうです。 「一に器量、二に芸…といわはりますけど、祇園の女は器量だけやない思いますんや。」 私はをんなのたおやかさ、芯の強さ、清冽なものを水の音さえ聞くように感じました。 その多佳は終生、雨の日と紫陽花の花を好んだといいます。巽橋のかかる白川辺の元あった「大友」の庭には紫陽花が植えられていた由。そして、昭和二十年(1945)5月に多佳は養子又一郎の家で静かにみまかったのです。 やはりこの日も雨が降り、紫陽花の花がうつくしく咲いていたと、『祇園の女 文芸芸妓磯田多佳』の著者、杉田博明氏は書かれています。 それでは、お多佳さんに贈られた文人客の手向けの歌をここに。 あじさいの 花に心を 残しけん 人のゆくへも しら川の水・・・・谷崎潤一郎 年ごとに 君がこのめる 紫陽花の 花は咲けども 多佳女世になし・・・・吉井 勇 ◇ 2006/06/17 京都 東山区 祗園町 南側 IT新聞tsubakiコラムに掲載された拙記事です。
by tsubakiwabisuke
| 2007-06-26 13:20
| 夏目漱石
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