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2006年 09月 29日

水指(みずさし)と 湯がえし


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画像は、庭の片隅に挿し木して大きくなった、宗旦むくげ


9月も過ぎていきます。今日はご宗家の稽古で個人点前でした。

次の間6畳に土風炉が置かれ、最初は本勝手。初炭と濃茶の客になりました。

指導はあべ業躰。今日庵において実技の教授法ナンバーワンはこの先生でしょう。年とともに温厚になられ、分かりやすくかみくだいた言葉で要所要所に注意を与えられるのです。

私は客を済ませた後で、逆勝手の薄茶運び点前をしました。何度やっても間違いますから一応書き留めておきましょう。


逆勝手の薄茶運び点前

○入る足は左足から。建水は右手にもつ。出るときは右足から。坐から立つときも右足から。

○柄杓右手でとり、左手をあしらってかまえて、右手で蓋置きとり定座に置く。柄杓をもちかえ左手で蓋置きの上に。

○棗を袱紗で清めると水指の左下に流す。茶筅は水指の真下。(炉・向切と同じ)。

○袱紗は膝右に仮置きして、柄杓をとって釜の蓋をあける。

○茶碗の水を建水に捨てるのは左手から。その後右手と交互に。

○棗の蓋をあければ茶碗と膝前の間に置く。茶杓にて茶をすくう。

○水指の蓋は左、右、左、右、と4手でとる。

○拝見に出す時は棗、茶杓、と右手で常のごとく。



話の中に、水指のおき方によって湯がえしの有無という関係について言及がありました。

ミクシイの「裏千家コミュニテイ」で質問があったことをいま思い出します。

          

裏千家宗家 槍の間にて(2003年10月撮影)


玄々斎好の五行棚 「運び水指の棚」 に、どうして湯返しをしないのですか?というコメントがあったのでした。その質問者の先生は、「塗り板では無いからでしょう。」といわれたそうで、明確な答えが欲しいといった内容だったのです。


私は答えのヒントは出しておきましたが、めいめいの自助努力を求めて保留にしておりました。

この問の答えは、まさに「水指」なのですね。ここに関連があるものを並べてみることにしましょうか。


◇◇◇


「運び水指の棚」

玄々斎好・・・円融卓
又玅斎好・・・香狭間(コウザマ)棚
圓能斎好・・・寒雲棚・猿臂(エンビ)棚
淡々斎好・・・独楽棚・おつぼ棚

玄々斎好の五行棚 (風炉専用)


こうした棚には薄茶点前の場合、柄杓・蓋置きはかざりますが、湯返しはしません。
なぜでしょう?

いっぽう、長板二つ置きの点前に、柄杓蓋置きはかざりませんが湯返しは必ずすることになっています。

水指が畳の上に運び出された場合と、長板の上に置かれている場合の違いなのだと、理解できるのではないでしょうか。

運び水指は侘びの構えなのですね。そして五行棚そのものが風炉を置く棚であること。「木・火・土・金・水」の陰陽5行の思想がこめられているのだと頭ではわかっていても、なかなかすんなりと身につくまでには行かないのです。

来月はもうすぐです。10月の名残の茶趣を前に、残花の宗旦むくげの写真を撮ってきました。


◇◇◇


それから、水の音について。

薄茶の亭主相伴の場合に、主はお茶をいただく前に先ず水指から水を掬い、一杓を釜にさします。
これは、すぐにとびつかない気持ち。主は客に「この通り、釜には湯がたっぷりございますから、ごゆるりと。」という意味なのです。

したがって、水音が静かにひびく…そのことが大切です。
柄杓をこころもち高い位置からゆっくりと水を落とす…そうした点前ができれば何よりの美しいもてなしになりましょう。

あべ業躰先生との会話から多くのご示唆をいただきました。今日の稽古をふりかえり、みなさまにおすそ分けさせていただきますね。



◇◇◇

五行棚・画像の元記事は、拙サイト  竹一筋 千家十職 黒田正玄さん







by tsubakiwabisuke | 2006-09-29 16:56 | 茶の道


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